多焦点(遠近両用)眼内レンズ挿入白内障手術を20年ぶりに再開しました。
以前と違うのは、LASIK技術が使え残存屈折異常を除去出来るようになったことです。
日帰り白内障手術の項にも書きましたが、多焦点レンズは、遠近共に、そこそこ見えるのですが、単焦点にくらべ、いまいち、すっきり見えないという欠点もあります。
夜間は街頭などでは、明るい光の周囲に輪状のモヤ(ハロという)がついて見えます。
また、保険が利かない自費手術で、高価です。
白内障手術をうける、患者さんの期待するのは裸眼で普通免許の視力基準がクリアでき、本が読め、デメリットは最小限にということでは、ないでしょうか。
そこで、当院では、このように、行います。
- (1)先ず、通常の白内障手術(単焦点、保険で1~5万)を、片目に行います。
- (2)他眼に、多焦点(自費で、40万円消費税込み)を行います。
- 3ヶ月してから
- (3)両眼にLASIK手術(無料、(2)に含む)を行います。
これで、最終的に、裸眼で視力基準を、クリアして、両眼なら、本が読めます。
(1)の手術後の見え方は、
- ・裸眼では、遠方はそこそこ見え、近方は、ぼやけて見えています。
- ・遠近共に、眼鏡を使えば、ハッキリ見えます。
- ・手術後に、矯正(眼鏡)視力が、1.0未満の場合は、網膜等に問題があり、多焦点の適応外として、他眼の手術も単焦点とします。
(2)の手術後の見え方は、
- ・両眼で見ると、裸眼では、遠方はそこそこですが、近方が、見えるようになります。
- ・遠近共に、眼鏡を使えば、ハッキリみえます。
- ・単焦点、多焦点を比べて見ると、単焦点のほうがスッキリみえるのを自覚します。
(3)の手術後の見え方は。
- ・遠近ともに裸眼視力が向上します。
- ・角膜、レンズの安定を待つために、3ヶ月してから行います。
- ・紫外線対策が可能なら、LASIKよりPRKの方が、優れています。
- ・夜間は街頭などでは、多焦点眼の方には、ハロが見えます。
- ・近見の立体視が必要な3D絵本を見るには、老眼鏡が必要です。
- ・長時間の近見作業が続く場合も、老眼鏡があったほうが、楽に見えます。
白内障手術では、予測誤差、元々の角膜乱視、切開による乱視、眼内レンズの位置による乱視等があり、どうしても裸眼視力<矯正視力なので、裸眼視力=矯正視力のためにLASIK/PRKが必要です。
この方法は、モノビジョン法(単焦点で片目を遠見、他眼を近見)の、応用と言えます。
モノビジョンでは、眼鏡なしで、遠近は大体見えていますが、近見の裸眼視力は0.2程度なので、普通免許が、「眼鏡等」がつく可能性が高く、また、遠見での距離間隔(立体視)が劣ります。近見には、通常は立体視は必要なく、片目が見えていれば、
脳が自動的に優位眼として選択して、意識せずに見えます。
遠見での、良い距離感覚が、他焦点レンズの、モノビジョンに対する優位点です。
高価な他焦点レンズが、片方だけなので、約半額の手術代になるのも、メリットと思います。
この方法でも、多少のハロは存在するので、大型二種等で、眼鏡使用を忌避しないならば、両眼共に単焦点をお勧めします。
「LENTIS Comfort」という、眼内レンズを導入しました。
(2)の手術に、このレンズを選ぶことも出来ます。この眼内レンズは、屈折型二重焦点レンズで、加入度は、1.5Dです。
加入度が少ないので、遠近ではなく、「遠中」または「中近」程度ですが、ハロ・フレアをほぼ自覚しないというのが長所です。これを、反対眼に使用すれば、保険適用のレンズなので、費用は40万ではなく、保険で1〜5万となります。
その後に微調整のために、追加のLASIKをする場合は、8万(自費)となります。
|